大判例

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東京高等裁判所 昭和51年(行ケ)108号 判決

一 前掲請求原因のうち、本願発明につき、出願から審決の成立にいたるまでの特許庁における手続、発明の要旨及び審決の理由に関する事実は当事者間に争いがない。

二 そこで、右審決に原告主張の取消事由があるか否かについて考察する。

第一引用例に審決認定の記載があること並びに本願発明が審決認定の(1)ないし(3)の構成において第一引用例のものと相違することは当事者間に争いがない。

そして、第一引用例の発明に使用されるマトリツクスガラスに原告主張のような欠陥があつたこと、本願発明がシリカを含まないマトリツクスガラスを使用することによつて右欠陥を除去することを目的としたものであることは被告の認めて争わないところであり、成立に争いのない甲第一一、一二号証によれば、本願発明は、右(3)の構成により、マトリツクスガラスの溶出を容易にして、第一引用例のものの右のような欠陥を解消する面において顕著な作用効果(改善)を達成するものであることが認められ、右認定に反する証拠はない。

被告は本願発明の右構成を周知の材料の選択であつて、当業者の容易に推考することができるものである旨を主張し、第二引用例にシリカは溶解しない旨の記載があることは原告も争わないところであるが、本願出願当時、第一引用例のものの欠陥がすでに知られ、これを解決する手段が文献等によつて示唆されていたことは本件全立証によつてもこれを認めることができないから、単にシリカを含まないガラスの性質が公知であつたという一事だけでは、直ちにマトリツクスガラスに関する従来技術の欠陥がシリカ粒子の作用たることを発見してその解消手段として本願発明の右構成に想到することが当業者にとつて容易であつたということはできず、また、その構成による作用効果も予測することのできる程度のものということはできない。

そうだとすると、本願発明の右(3)の構成を第二引用例の記載から容易に推考することができるとした審決の判断は誤りであつて、審決は違法というべきである。

三 よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を正当として認容する。

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